車検には高額な費用がかかります。
その車検費用はすこしでも節約したいところです。
車検にかかる法定費用は削ることはできませんが、整備代のほうはやり方によっては安くできる方法があります。
それは、車検を出す前に自分でできることはやっておくことです。
車検の時に行う24ヶ月点検ではたくさんの点検項目がありますが、その中でも簡単に自分でできることはあります。
車検に出す前に自分でやっておけば、部品代だけで済むので余計な工賃は払わなくても済みます。
車検前にやっておくべきこと
灯火類の点検とバルブ交換
車検前に自分でできる一番簡単な作業は、灯火類の点検です。
車検時には、灯火類がどこか一つでも切れていたりすると受かりません。
灯火類とは、ヘッドライト・スモールランプ・ウインカー・ブレーキランプ・テールランプ・バックランプ・ハザードランプ・フォグランプ(付いている場合)などです。
車検の時にバルブが切れていると、バルブ代とともに交換工賃もかかる場合もあります。
バルブ交換などは、カー用品店などでバルブを買って自分で交換すればいくらもかかりません。
また、灯火類は点灯しないと整備不良と判断されて、違反点数が1点と罰金が7,000円も課されてしまいます。
なので、車検に限らず灯火類は定期的な点検が必要です。
ブレーキランプなどは一人では点検できないので、誰かに手伝ってもらって後ろから見てもらう必要があります。
ヘッドライトのバルブ交換は、まずボンネットを開けてヘッドライト裏側の配線のコネクタを外します。
コネクタは引っ張れば取れるのですが、差し込みがかなり固いので注意が必要です。
そして、ゴムのカバーを外します。
その後にバルブを支えている針金のようなピンを外せばバルブは外れます。
バルブを取り付ける時には、手でバルブのガラス面を触ってはいけません。
手に付着した油分のせいでバルブが切れやすくなってしまいます。
ヘッドライトは車種によって取り付け位置が違うので、やりやすい車もあればやりずらい車もあります。
また、HIDバルブの場合には手順も少し違ってきますし、高電圧がかかる部分なので決してスイッチを入れたままで作業をしてはなりません。
自身が無い人はプロに任せたほうが安心です。
ウォッシャー液の補充
ウオッシャー液はフロントガラスが汚れている時に汚れを除去するのに必要な装備です。
車検の時にはウォッシャー液がノズルからきちんと噴射されるかどうかも点検項目に入っています。
ウォッシャー液がきちんと噴射されない場合はウォッシャー液が入っていないか、ノズルが詰まっていないか、モーターが作動しないか、などの原因が考えられます。
たんにウォッシャー液が入っていなかった、という理由ならウォッシャー液を補充すればいいだけです。
ウォッシャー液は、カー用品店やホームセンターなどでも売っているので、そちらで自分で購入して補充したほうが安上がりです。
ノズルの詰まりなども、細い針金などで突いてやれば簡単に直すことができます。
ウォッシャー液がノズルから噴射されないのでウォッシャー液を足してノズルの穴も掃除したのだが、やっぱり出ない、などという時にはウォッシャーモーターが作動していない可能性もあるので、その時には整備工場に任せましょう。
ウォッシャー液は雨が降った時や、フロントガラスが鳥の糞などで汚れた時に使う機会が多いので、普段から残量には気をつけておいたほうがいいでしょう。
ワイパーゴム交換
ワイパーゴムも切れていると車検が受からないので、切れているかもうすぐ切れそうな状態だったら、前もって交換しておきましょう。
ワイパーゴムもウォッシャー液も車検時に交換するよりは、カー用品店で購入して自分で交換したほうがはるかに安いです。
ワイパーゴムは国産車の場合は大抵の車はゴムだけ交換できますが、外国車の場合はワイパーブレードそっくりでないと交換できない場合もあります。
ワイパーゴムの交換は簡単です。
ここでは、国産車に多く使用されているU字フックのワイパーゴム交換についての方法です。
まず、ワイパーを立てます。
そして、ワイパーブレード本体とワイパーアームの間にあるロック(ポッチ)を押してブレードを引き下げればブレードは外れます。
ワイパーブレードが外れたら、ワイパーゴムを引き抜いて新しいゴムをブレードに取り付けます。
その後、ワイパーブレードをワイパーアームに差し込んで完成です。
この時にパチンと音がするまで差し込まないと、ロックがかかっていないので、動かしているうちに抜けてしまうので注意しましょう。
エンジンオイル交換
エンジンオイルの交換も自分で交換したほうが安くできるのですが、灯火類のバルブ交換などに比べると難易度は高くなります。
工具なども揃える必要があるし、抜いた廃油の処理もあります。
自分でできない場合には、ガソリンスタンドやカー用品店などに頼むのがいいでしょう。
ディーラーなどで行なうよりも費用は抑えられます。
今までエンジンオイル交換はやったことがないが、これからは自分でしてみようかな、と思っている方は、下の記事でオイル交換時の注意事項を記しているので参考にしてくれればと思います。
エンジンオイル交換を自分でする時のやり方と必要な道具 失敗例も
エアクリーナー交換
車検の時の点検項目のひとつとしてエアクリーナーがあります。
エアクリーナーは、エンジンに吸入する空気の埃などを除去する大切な部品です。
エアクリーナーが汚れていると、エンジンの調子が悪くなったり燃費が悪くなったりしてしまいます。
車検時にエアクリーナーが汚れていると交換を勧められるので、前持って交換しておけば費用を安くできます。
ほとんどの車はエアクリーナーを交換するのに特別な工具は必要ありません。
工具無しでできる場合が多く、工具を必要とする場合でもプラスドライバーが1本あれば簡単に交換できます。(注:まれにメガネレンチなども必要な車もあります)
スパークプラグ交換
スパークプラグ交換は、車によって交換方法がさまざまなので、初心者では難しい車もあるし、初心者でも簡単にできる車もあります。
スパークプラグ交換は特殊な工具が必要ですが、価格はそれほど高くないので一度揃えてしまえば、車検時に交換するよりもかなり安く交換できます。
工具もネットで安く購入することができます。
タイヤ交換
タイヤは残量が1.6mm以上ないと車検は通りません。
なので、車検前に自分で確認して減っていたら前もって交換しておいたほうがいいでしょう。
一般的にタイヤの交換は整備工場で行うよりもタイヤショップやカー用品店で交換したほうが安いので車検代も節約できます。
プロに任せたい整備とは
車検整備で特に重要な箇所は、ブレーキや下回りなどトラブルがあると事故に直結してしまうような箇所です。
ブレーキパッド交換
車のブレーキは、ブレーキペダル→ブレーキブースター→ブレーキマスターシリンダー→ブレーキキャリパーのピストン→ブレーキパッド→ディスクローター→タイヤ
と伝わり車を止めることができます。
ブレーキパッドはディスクローターとの摩擦により減っていきます。
ブレーキパッドが減るとマスターシリンダーのリザーバタンクの液面が下がるので、液面が下がっていたらブレーキパットが減っていると考えられます。(注:ブレーキ系統にどこか液漏れがあった場合にも液面は下がるので注意が必要です)
ブレーキパットは新品時は10~12mmほど厚さがあります。
残りの厚さが4mm以下になったら交換時期と考えていいでしょう。
また、ブレーキパッドにはセンサーが付いていて、ある程度減るとメーターのインジケーターを点灯させて交換時期を知らせる機能が付いている物もあります。
その他にも、ブレーキパッドに鉄の金具が付いていて、パッドが減るとその金具がディスクローターに接触して、キーキーと音をたてて運転者に知らせるものもあります。
走行中にブレーキを踏んだ時に、キーキーと音がした場合はブレーキパッドの摩耗を点検することが必要です。
また、走行中にブレーキを踏んでいない状態でも、シャリシャリとか異音が聞こえる場合にもブレーキパッドの摩耗が考えられます。
車が走行中にシャリシャリ異音がするがブレーキを踏むと消える原因
ブレーキは車検の点検項目の中でも特に重要な箇所です。
重要保安部品に指定されている為、分解整備はディーラーなどの指定整備工場か、国の認証を取得している民間の認証工場でしかできません。(注:自分でやることは違法ではありません)
ディスクパッドの交換は、車の整備知識や経験が豊富な人で無い限り、プロの整備士に任せたほうが安全です。
ブレーキオイルの交換
ブレーキオイルの役目は、ブレーキペダルにかかった圧力をディスクキャリパーのピストンに伝えることです。
ブレーキオイルは吸湿性があるので、長期間の使用で空気の中に含まれている湿気を吸収してしまい、性能が劣化してしまいます。
なので、ブレーキオイルの交換は車検毎に行なうのが理想です。
ブレーキオイルの交換は二人の人数が必要になります。(一人でもできますが二人のほうが簡単で確実です)
一人がブレーキペダルをポンピングして、もう一人がブレーキオイルを抜きます)
素人の方でも慣れれば簡単にできますが、ディスクパッドの交換と同じく、ブレーキ関係の整備は自信がない方はプロに任せたほうが安全です。
車の下回りの整備
車の下回りとは、サスペンションやドライブシャフト、マフラーなどです。
点検項目としては、サスペンションのガタやボールジョイントブーツの亀裂・損傷、ドライブシャフトのガタやブーツの亀裂・損傷、マフラーの腐食や損傷、デフ・ミッション・エンジンのオイル漏れなどです。
いずれの作業も車をリフトアップして下から覗きこまなければなりません。
自動車整備工場のようにきちんとしたリフトがあればいいですが、自分で行なうとなるとジャッキで車を上げて地面に寝転がって作業をしなければなりません。
作業効率も悪く危険でもあるのでDIYでするのはおすすめできません。
バッテリー交換
車検の時にはバッテリーの劣化具合も点検します。
普段、普通にエンジンがかかっても、バッテリーテスターで測定すると以外と交換時期がきている物も多いです。
そのような時、車検業者では交換を勧めてきますが、バッテリーは業者で交換した場合には結構高いです。
カー用品店やホームセンターなどでも購入できますが、やはり一番安いのはネット通販です。
しかし、問題もあります。
近年の車はエンジンだけでなく、パワーウインドーやその他電気で作動する箇所にはコンピューターで制御されている場合が多いです。
なので、バッテリーを交換する時に端子を外してしまうと、それらがリセットされてしまい誤作動をおこしてしまいます。
そのようなことがおきないように、バッテリーのバックアップをとっておかなければなりません。
バックアップをとるには専用の機器が必要になるので、それを購入する必要があります。
バッテリー交換のバックアップ はジャンプスターターがおすすめ
冷却水(LLC)の交換
エンジンは始動すると熱を発生しますが、その熱を抑えるのは冷却水です。
冷却水はロングライフクーラント(LLC)という不凍液を使用しています。
LLCも交換しないと劣化してしまうので、定期的に交換が必要です。
LLCの交換時期は、2~3年が推奨されています。
また、スーパーLLCというものもあり、そちらの交換時期は、新車で走行距離16万kmまたは7年、2回目以降は8万kmまたは4年となっています。
LLCの交換は、簡単そうに思えますが、実は非常に面倒です。
ラジエターのドレンコックを外してただ抜いただけでは、全容量の半分も抜けません。
完璧に抜くには、エンジンの側面に配置されたドレンボルトを外して、エンジン内部に溜まっている冷却水を抜く必要があります。
ところがドレンボルトは大抵の場合、補記類が邪魔で簡単に手が入らない位置についています。
その為に自動車整備工場では、専用の機械を使って負圧をかけて冷却水を抜いています。
また、LLCを入れたあとにエア抜きもしなけれなりません。
エア抜きをきちんと行なわないと、冷却効果が得られず、オーバーヒートしてしまいます。
エア抜きの方法は車によって違うので、整備マニュアルなどがないとわかりません。
このような理由からLLCの交換はプロに任せるのが正解です。
まとめ
・灯火類の交換はDIYでやったほうが安上がりになるが、HIDバルブの交換は注意が必要。
・ウォッシャー液の補充やワイパーゴムの交換は簡単にできるので、素人の方でも大丈夫。
・エンジンオイルの交換は、工具さえあればDIYでもできるが、廃油の処理とかもあるので、ガソリンスタンドやカー用品店などで交換するのがおすすめ。
・エアクリーナーの交換は、部品をネットで購入して自分で交換したほうが安上がりになる。
・スパークプラグの交換は、車種によってはDIYでも簡単だが、工具は揃える必要がある。
・車の下廻りの整備、ブレーキパッドやブレーキオイルの交換、LLCの交換は、車検の時にプロに任せたほうが安心。
・バッテリー交換は、車検時に交換するよりもDIYで交換したほうがはるかに安くできるが、バックアップを取る必要がある。
自分でできる整備を車検前に行なうことで、車検を安くすることができますが、自身が無い場合はプロに任せたほうが安心です。
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