自動車整備にかかせないラチェットハンドル。
ラチェットハンドルがあると無いとでは作業効率が全然違います。
ラチェットハンドルは、最低でもひとつは持っていたい工具です。
でも、種類がたくさんあるのでどれを選んだらいいのかわからない。
と、思っている方も多いと思います。
そこで、ディーラーで19年間整備の仕事をしてきた筆者が、間違ったラチェットハンドルの選び方をしないようにと思ってこの記事を作成しました。
この記事で解ること。
・ラチェットハンドルとはどのような工具?
・ラチェットハンドルの種類
・ラチェットハンドルの選び方
ラチェットハンドルの選び方は難しいので、この記事が少しでもみなさんの参考になるようにと思い書いています。
この記事は特に自動車整備初心者のかたにおすすめの記事です。
ラチェットハンドルとはどのような工具?
ラチェットハンドルとは、先端の丸い部分にラチェット機構が備えられた工具です。
ラチェットハンドルはそのままでは使えなく、ソケットと組み合わせて使います。
ラチェット機構のおかげで、ボルトやナットを回す時にいちいち外す必要がなく、セットしたままの状態でハンドルをストロークできるので、自動車整備には必須と言っていい工具です。
ラチェットハンドルには、回転方向の切り替えレバーが付いているので、逆方向に回す時にもレバーを切り替えるだけで済みます。
ラチェットハンドルはたくさんの種類があるので、購入する時には自分がどのような作業を主にしているのかを考慮して、自分の使い道に合ったラチェットハンドルを捜すことが大切です。
間違って選んでしまうと、いざ使う時に長さが長すぎて使いずらいとか、短すぎて力が入らないとかなってしまいます。
ちなみに、ラチェットレンチというものは、ラチェットハンドルにソケットが初めからついている工具ですが、ソケットを付け替えることができないのであまりおすすめはできません。
下の画像の物です。
一般に自動車整備の現場では、単にラチェットと言えばラチェットハンドルのことを指しているのですが、ラチェットハンドルにソケットを付けて使えばラチェットレンチになるので、呼び方については気にする必要もないでしょう。
ラチェットハンドルの種類
ラチェットハンドルはソケットと組み合わせて使う工具ですがその種類は数多くあります。
ラチェットハンドルにはショート、スタンダード、ロングのタイプがありさらに首振りタイプ、ハンドル部分が角度の付いた物などいろいろあり、使うシュチュエーションによって使い分けることが必要です。
ラチェットハンドルの長さ
自動車整備で普段一番多く使われるタイプがスタンダードの長さのラチェットハンドルです。
上の画像でいえば、真ん中のラチェットハンドルです。
主にエンジンルームの中の整備をするときに使うことが多いです。
ロングタイプのラチェットハンドルはスタンダードのラチェットハンドルではボルトが付いている位置まで柄が短くて届かない箇所などを整備するときに使います。
ショートタイプのラチェットハンドルはエンジンの中の狭い部分の作業をする時や、室内の整備をする時に役にたちます。
ラチェットハンドルのソケットのホールドの仕方
ラチェットハンドルに差し込むソケットの付け方はボタンを押してソケットの切り離しをするプッシュホールドタイプとただ差し込んでロックするタイプがあります。
どちらも一長一短があり、プッシュホールドタイプの場合は作業中にソケットが外れないという利点があるのですが、プッシュボタンがあるぶんヘッドが厚くなってしまうので狭い空間でクリアランスを確保できずラチェットレンチが使えない場合がでてきます。
逆にプッシュボタンが無いタイプは作業中にソケットが外れてしまい、ソケットがエンジンルームの下に落ちてしまい捜すのに手間をくってしまったなどといったこともあります。
広い所の作業ではプッシュボタンがあるほうが使いやすいので作業環境に応じて選択しましょう。
ラチェットハンドルの首振りタイプ
ラチェットハンドルの首振りタイプは首が振ることによって角度を変えられるので便利ですが、場合によっては首が振ることによって作業がやりづらくなってしまう場合もあります。
自動車整備の場合、特にエンジンルーム内の整備は現在の車はほとんど隙間が無いのでラチェットハンドルの首がストレートで固定されているとソケットとボルトが直線になるので、回りに何か障害物があるとラチェットハンドルが入らないし回すこともできません。
しかし、首振りタイプのラチェットハンドルだったら角度を変えられるので障害物をうまくよけてアクセスできるので大丈夫です。
首振りタイプのラチェットハンドルの弱点は力がかかった時にダイレクト感が無いので固いボルトなどを緩めるときには力を入れづらいです。
ハンドルに力を入れて回した時にズルッとなってラチェットレンチがボルトから外れてしまうこともあるので注意が必要です。
ハンドルを振ったときの感覚は首振りでないほうが使いやすいです。
スイベルト式のラチェットハンドル
スイベルト式のラチェットハンドルは首降り式のラチェットハンドルに比べて、斜めにかけて力をかけた時でもボルトから外れるということがありません。その理由はヘッドの稼働部分の支点が中心にありボルトに直線的にソケットをかけられるからです。
しかし、首振り式のラチェットでないとボルトにアクセスできない場合もあるのでどちらが優れているとも言えないです。
ラチェットハンドルの差し込み角 サイズの違い
ラチェットハンドルには大きく分けて1/4(6.35mm)、3/8(9.5mm)、1/2(12.7mm)
といった物に分けられます。
昔(かなり昔ですが)の乗用車はエンジンルームがスカスカだったので1/2(12.7mm)のラチェットハンドルが主流でしたが、現在の乗用車は排出ガス規制などの影響でエンジンルームの中はびっしりと詰まっていて手を入れるスペースもままなりません。
ですからラチェットハンドルもサイズの小さい物が使われる機会が多くなりました(大型車においてはまだまだ1/2のサイズの出番もあります)。
現在の乗用車の整備には3/8(9.5mm)のサイズのラチェットハンドルが一番多く使われるのでまず最初に買うのは3/8(9.5mm)のラチェットハンドルが良いでしょう。
1/4(mm)のラチェットハンドルは室内の整備など狭く細かいところの整備に適しています。
1/2(12.7mm)のラチェットハンドルは主に足回りの整備に使う時が多いです。
足回りのボルトやナットはサイズがエンジンなどに使われているのに比べると大きくトルクも強いトルクで締まっているため頑丈なラチェットハンドルが必要です。
3/8(9.5mm) ラチェットハンドル
低価格のラチェットハンドルを選ぶなら
sk11のラチェットハンドルです。
ヘッドの幅が27mmとコンパクトサイズで狭い箇所にも対応できます。
プッシュボタン式のホールドでソケットが外れる心配もいりません。
コストパフォーマンスの高いラチェットハンドルです。
信頼性と使いやすさで選ぶなら
日本を代表する工具メーカーKTC のラチェットハンドルです。
精度と信頼性、使いやすさは折り紙付きです。
プッシュボタン式のソケットホールドタイプです。
最高級のラチェットハンドルなら
世界を代表する一流工具メーカー スナップオンのラチェットハンドルです。
スイベルト式のラチェットハンドルで斜めにかけても力を入れやすいです。
さすがに国産品とは一桁値段が違いますが、その使いやすさやフィット感、精度、高級感などにおいて群を抜いた存在です。
使わなくて置いておくだけでもブランド品を持っているという優越感なども感じられます。
1/4(6.35mm)ラチェットハンドル
1/4(6.35mm)のラチェットハンドルは狭い箇所の作業にとても有効です。
例えばエンジンルームの奥の裏側に止まっているボルトを外す場合。
車の足下やダッシュボードなどの狭い箇所のボルトを外す場合。
スタンダードのラチェットハンドルでは作業が困難な箇所でも小さくて軽い1/4(6.35mm)のラチェットハンドルだったら楽に作業ができます。
1/4(6.35mm)のラチェットハンドルは力のかかるところには向かないので、固く締まっている場合には最初の緩めるときだけスタンダードのラチェットを使い、少し緩んだら1/4(6.35mm)のラチェットハンドルで回していくというやりかたがいいです。
SK11の1/4(6.35mm)ラチェットハンドルです。
ギヤ数が72枚で送り角度も5度と細かいのでハンドルのストロークもとりやすいです。
価格も安いのでコストパフォーマンスが高いラチェットハンドルです。
1/2(12.7mm)ラチェットハンドル
TONEの1/2(9.5mm)ラチェットハンドルです。
軽量・薄型・コンパクト設計で1/2ラチェットの重い、厚い、大きいといった欠点を解消しています。
送り角度が5度である為、狭い箇所でも振り幅を確保できる為作業がスムーズにおこなえます。
ハンドルグリップがI字断面の形状で手にしっかりとなじみます。
1/2(12.7mm)ロングラチェットハンドル
1/2(12.7mm)のロングラチェットハンドルは主に足廻りなどのボルト・ナットの締め付けトルクが大きく力を必要とする時などに使います。
SK11のロングラチェットハンドルです。
差し込み角が1/2(12.7mm)でもヘッドの幅が34.5mmというコンパクトヘッドで5度の送り幅と相まって1/2(12.7mm)サイズでも狭い場所に対応できます。
低価格でコストパフォーマンスの高いロングラチェットハンドルをお捜しのかたはこちらがおすすめです。
3/8(9.5mm)ロングラチェットハンドル
TONEのロングラチェットハンドルです。
こちらは全長がロングタイプの380mmよりさらに長い425mmの超ロングタイプです。
首振りタイプのロングラチェットハンドルで3/8(9.5mm)のサイズです。
エンジンルームのベルト交換で上からはアクセスできないでやむなく車をリフトアップして下から作業する時もあります。
そのような時にスタンダードのラチェットハンドルではボルト・ナットに届かない時があります。
でもロングタイプのラチェットハンドルがあれば問題なく届くので作業がスムーズにできます。
まとめ
ラチェットハンドルは自動車を整備するうえで大変便利な工具ですが、選び方を間違ってしまうと使いづらくなってしまい、購入する時には慎重に選ぶことが大切です。
軽自動車や普通自動車の整備をする時と、大型のトラックなどを整備する時ではラチェットハンドルもそれに合った大きさの物にしないと、使いづらいどころか全く使えない、ということになってしまいかねません。
結論を言えば、長さの違う物を何種類か揃えておくのが理想です。
これまでの記事を読んで少しでも参考になったら幸いです。
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