車を運転していて、以前と比べてハンドルが重くなった気がする。
急にハンドルが重くなった。
などといった場合には、車が故障している場合もあります。
車のハンドルが重くなってしまうと、ハンドル操作がスムーズにできなくなってしまい、事故に繋がる可能性があります。
その為、ハンドルが重い原因を早急に突き止めて修理することが大切です。
車のハンドルが重くなってしまう原因にはいろいろなことが考えられるので、その原因と対処法について自動車整備歴30年以上の筆者が解説します。
車のハンドルが重くなる原因として考えられる箇所は
1、タイヤの空気圧不足
2、パワーステアリングポンプの故障
3、パワーステアリングギヤボックスの故障
4、パワーステアリング電気系統の故障(モーター、コンピューター、センサーなど)
5、ステアリングシャフトジョイントの固着
6、ロアボールジョイント・アッパーボールジョイントの固着
7、サスペンションのアッパーマウントのベアリング不良
8、足回りに異常がある場合
などが考えられます。
タイヤの空気圧不足でハンドルが重い
ハンドルが重いと感じる時に真っ先にチェックする項目は、タイヤの空気圧です。
タイヤは唯一路面と接触している箇所ですが、タイヤの空気圧が少ないと路面との接触面が大きくなり、ハンドルを切った時の摩擦抵抗も大きくなるので、ハンドルは重くなります。
釘などが刺さってタイヤがパンクしてしまうと、当然空気が抜けてしまってハンドルが重くなりますが、タイヤというものは、長い間何もしないと空気圧も少しづつ低くなってしまうので、定期的にチェックは必要です。
タイヤのパンクは、何も釘などが刺さった場合とは限りません。
スローパンクチャーと言って、タイヤのバルブやホイールとタイヤの合わせ面からも少しづつ空気が漏れることもあります。
タイヤの空気圧の減り方が早い場合には、そのへんもチェックする必要があります。
タイヤの空気圧は車の運転席のドア付近に記されているので、定期的にチェックするようにしましょう。
また、タイヤの太さによってもハンドルの重さは変わってくるので、極端なタイヤ幅のアップは、ハンドル操作にも悪影響を与えるのであまり好ましくありません。
タイヤの空気圧は、ガソリンスタンドなどで無料でしてくれることが多いので、たまにはガソリンを入れたついでにチェックしてもらうのがいいでしょう。
自宅でタイヤの空気圧をチェックしたい人は、タイヤエアゲージをひとつ持っておけば便利です。
空気圧を見るだけでしたら安い物で充分です。
空気を入れることも考えると、エアホークプロなどの充電式の小型のエアコンプレッサーがあれば、自宅でも出先でも簡単にタイヤの空気圧を調整できるので便利です。
パワーステアリングポンプの故障でハンドルが重い
パワーステアリングが故障すると、当然アシスト機能がなくなるのでハンドルは重くなります。
車のパワーステアリングには、油圧式の物と電気式の物があります。
油圧式のパワーステアリングは油圧の力でステアリングギヤボックスを動かします。
その油圧を発生する部品がパワステポンプ(ベーンポンプ)です。
油圧式パワーステアリングのポンプが故障すると、パワーステアリングギヤボックスに油圧がかからなくなってしまい、ハンドルが重くなってしまいます。
油圧式パワーステアリングのポンプが故障する原因としては、オイル漏れなどによってポンプの内部が焼き付いてしまう、とか、オイルの劣化などが上げられます。
パワーステアリングのオイル漏れの箇所は、ポンプのオイルシールの不良、油圧系統のパイプやホースの亀裂、ギヤボックスのオイルシールの不良、などがあります。
オイル漏れが原因の場合には、ポンプに回るオイルが足らなくなって、ハンドルを切った時にポンプからガーガーとかギーギーとかの異音がするので、そのような異音が聞こえたら早急にオイル漏れを修理しなければなりません。
異音が出て間もないうちだったら、オイルを足すことで音も消えるし、ハンドルの重さも軽くなりますが、修理をするのが遅れてしまうとポンプが焼き付いてしまい、ポンプを交換しなければならなくなってしまいます。
パワーステアリングポンプのオイルはリザーブタンクでオイルの量や汚れ具合を簡単に確認できるので、汚れがひどい場合には交換してやることも必要です。
それと、パワーステアリングポンプを回しているベルトが切れた場合にも、ポンプが回らなくなってしまい急にハンドルが重くなるので、走行中に切れるとハンドル操作ができなくなってしまいます。
厳密に言うと、パワーステアリングが効かなくなってもハンドルを回すことはできます。
しかし、エンジンを止めた状態でハンドルを回してもらうとわかるのですが、とても腕の力だけで回すのは不可能に近いです。
なので、パワーステアリングのベルトは、少しでも亀裂が見られたら早めに交換することが大事です。
パワーステアリングギヤボックスの故障でハンドルが重い
パワーステアリングギヤボックスの内部のコントロールバルブが故障すると、パワーステアリングポンプで発生した油圧をコントロールすることができなくなり、ハンドル操作が重くなります。
油圧式のパワーステアリングギヤボックスが故障した時には、ハンドルを左右に切った時に、どちらか一方のみに切った時に重くなる傾向があります。
左にハンドルを切った時のみ重いとか、逆に右に切った時に重いなどといった症状であれば、パワーステアリングギヤボックスが故障している可能性が高いです。
パワーステアリング電気系統の故障でハンドルが重い
パワーステアリングが電動式の場合には、パワーアシストとして電動で回るモーターが付いています。
そのモーターが故障すると、ハンドルを回した時にモーターのアシストが無いので、人力でのみとなってしまい、ハンドルが重くなってしまいます。
また、パワーステコンピュータの故障・センサーの故障・配線の断線などがあるとモーターが正常に動かなくなってしまうのでハンドルが重くなってしまいます。
電動式のパワステでハンドルが重くなったり、軽くなったりする時には、モーターやコンピューターなどの電気系統の不具合が考えられます。
ステアリングシャフトの固着でハンドルが重い
ハンドルを回すとその動きは、ステアリングシャフトを伝わってステアリングギヤボックスへと繋がります。
ステアリングシャフトにはユニバーサルジョイントが付いていて、角度を変えられるようになっています。
そのユニバーサルジョイントの可動部が固着してしまうと、ハンドルを切った角度によって軽くなったり重くなったりします。
ハンドルを回した時に重くなったり軽くなったりと、重さが一定でない時にはステアリングシャフトのジョイント部の固着を疑うべきです。
また、ステアリングギヤボックスを支えているゴムのブッシュが摩耗したりすると、ハンドルを回した時にステアリングギヤボックスがズレてしまい、ひっかかるような感じがします。
その場合、ハンドルを切って戻した場合に元の位置に戻らなく、車が直進状態でもハンドルが曲がっている、ということもあります。
ブッシュの摩耗だけが原因の場合にはブッシュを交換すれば解消します。
ロアボールジョイント・アッパーボールジョイントの固着
サスペンションを支えているロアアームやアッパーアームのジョイント部分が固着してしまうと、ハンドルを切った時に動きが渋くなって、ハンドルが重くなってしまいます。
その場合には、ハンドルを切った時にギーギーとかギシギシとかいった摩擦で擦れるような異音がすることが多いです。
また、その部分にガタがある場合には凹凸の路面を走行時に、ガタガタとかコトコトとか異音が出ます。
サスペンションのアッパーマウントのベアリング不良
サスペンションの上部のアッパーマウントのベアリングに異常があると、ハンドルを切った時にその部分が抵抗となって引き摺るような感じになってしまい、ハンドルが重くなります。
また、ロアアームやアッパーアームのジョイント部分が固着してしまった時のように、ギーギーとかギシギシとかいった異音がすることが多いです。
足回りに異常がある場合
足回り何らかの異常がある時にも、ハンドルが重くなってしまう可能性があります。
例えば、足回りがぶつかっていてホイールアライメントがずれてしまったりしたら、ハンドルは重くなってしまいます。
足回りはぶつかっていても、見た目には解らない時もあります。
見た目がなんともなくても、ホイールアライメントは軽い衝撃でもずれてしまうことがあるので、ハンドルが重くてポンプやギヤボックス、タイヤ空気圧などが正常な場合にはホイールアライメントも点検してもらうことが必要です。
ハンドルが重い場合の修理費用はいくらかかるか
ハンドルが重い場合の修理費用はその不具合箇所によって大幅に異なってきます。
下に例を掲げますが、車の種類によって値段も大きく変わってくるので、参考程度に思ってください。
パワーステアリングポンプの交換
リビルト品を使用 5万円~8万円
(リビルト品とは中古の部品の傷んでいる箇所を新品に交換した物です、機能的に新品とほぼ同様と言っていいでしょう)
新品を使用 7万円~10万円
ステアリングギヤボックスの交換
リビルト品を使用 5万~8万円
新品を使用 10万円~15万円
ステアリングシャフトの交換
新品を使用 2万円~12万円
(ステアリングシャフトはどこのジョイント部分の動きが固いかによって値段も違ってきます)
足回りの部品の交換
足回りの部品の交換については、どこの部品を交換するかによって部品代や工賃も変わってくるので、1万円~10万円以上と幅広くなってしまいます。
また、部品を交換しなくても調整だけで直る場合もあるのでピンキリです。
ハンドルが重くなるのを防ぐ方法
ハンドルが重くなるのを完全に防ぐことはできませんが、点検を小まめに行うことである程度の予防は可能です。
そこで、ハンドルが重くなるのを予防する方法を解説します。
・タイヤの空気圧を定期的にチェックする。
・パワーステアリング機構の定期的な点検をする
以上の二つの項目が大切なポイントです。
タイヤの空気圧は高くするとハンドルは軽くなり、逆に低いと重くなります。
だからと言って、ハンドルを軽くしようとしてタイヤの空気圧を規定値よりも大幅に高くするのは危険です。
タイヤの空気圧が高すぎると走行安定性が悪くなってしまい、ブレーキ性能などにも悪影響を与えてしまいます。
タイヤの空気圧は既定値にするのがベストです。
また、パワーステアリング機構の定期的なチェックは重要で、油圧式パワーステなどはリザーバタンクのオイル量をチェックしていれば、オイル漏れなどの故障を発見しやすくなります。
オイル漏れを早めに発見して修理すれば、ベーンポンプの焼き付きなども未然に防ぐことができるので、高額な部品交換費用を回避することができます。
まとめ
・ハンドルが重い場合に真っ先に点検すべき項目はタイヤの空気圧である。
・ハンドルを切った時にガーガー異音がする時はパワーステのオイル量をチェック。
・ハンドルが引っかかるように感じる時はステアリングシャフトのジョイントやステアリングギヤボックスを支えているゴムのブッシュの可能性が高い。
・ハンドルが重い原因となる箇所によって修理費用には差がある。
・ハンドルが重くなるのを予防するには定期的な点検が大切。
・ハンドルが重いと感じたら気のせいと思わずに自動車整備工場で点検してもらう。
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