バッテリーの警告灯(ランプ)が点灯する原因はオルタネーターに異常が発生した場合がほとんどです。
バッテリーの警告灯(ランプ)の役目は、車のエンジンがかかっている時に充電系統に不具合が発生したことをドライバーに知らせる役目をしています。
この記事では元ディーラー整備士の筆者が、今までの経験と知識をもとにして、バッテリーの警告灯が点灯する原因、修理費用はいくらかかるのかを解説していきます。
バッテリーの警告灯(ランプ)が点灯する原因
バッテリーの警告灯が点灯する原因は、オルタネーターの不具合がほとんどです。
オルタネーターとは、エンジンの回転を利用してバッテリーに電力を送るための発電機です。
このオルタネーターが故障すると、バッテリーに電力が送られない為にメーターのバッテリー警告灯(ランプ)が点灯します。
オルタネーターはエンジン回転が上がれば上がるほど発生電力も大きくなるので、そのままだとバッテリーが過充電を起こしてしまいます。
それを防止するためにICレギュレーターというものが組み込まれていて、発生電力が一定の範囲になるように制御されています。
バッテリー警告灯はイグニッションONで点灯して、エンジンが始動すると消灯する仕組みになっています。
バッテリー警告灯(ランプ)が点灯した時の点検方法
バッテリー警告灯が点灯した時には、まずはバッテリーをチェックします。
バッテリーの電圧はエンジンを止めた状態で12.5V~12.8Vあれば正常です。
バッテリーの電圧を測る為にはサーキットテスターが必要になるので、持っていない方はひとつくらいは買っておいたほうがいいでしょう。
サーキットテスターは、このような時以外にもいろいろな用途で使えるのでひとつあれば大変便利です。
密閉式でないバッテリーの場合には、バッテリーの液量とバッテリー液の比重もチェックする必要があります。
バッテリーには、液を注入するところが6箇所あり、それぞれが仕切り板で分かれています。
バッテリーの比重を点検する時には、6箇所全部を点検してそれぞれの比重差が0.05以上あったら交換が必要です。
バッテリー液はアッパーレベルとロアーレベルの間に入っていれば大丈夫ですが、バッテリー液の量がロアーレベルより下の位置であった場合には、バッテリーの極板が露出してしまう可能性もあります。
バッテリーの極板が露出してしまうと、もうそのバッテリーはバッテリー液を注入して充電しても使えなくなってしまいます。
バッテリーを長持ちさせるには、定期的にバッテリー液の量を点検することが大切です。
(注:密閉式バッテリーの場合にはこの限りではありません)
バッテリー液の比重を測るには比重計が必要になりますが、比重計は2千円~3千円くらいで買えるので、ひとつ持っていれば大変便利です。
比重計には、バッテリーの比重だけしか見れないものと、不凍液の濃度も測れる物があるので、どうせ買うなら不凍液の濃度も測れる物を買ったほうが便利です。
バッテリーが正常だったら次はファンベルトの張りをチェックします。
ファンベルトの張りが弱いとベルトがスリップしてしまって、エンジン回転に応じた電力をオルタネーターが発生できなくなってしまい、バッテリー警告灯が点灯してしまいます。
その場合、ファンベルトの張りを調整してバッテリー警告灯が消えればオルタネーターは関係ありません。
ファンベルトの張りが正常だったら、バッテリーの充電電圧を測ります。
バッテリーの充電電圧はバッテリーが満充電の状態で測るのが基本です。
バッテリーが弱っている状態で充電電圧を測ると正確な測定はできません。
バッテリーの充電電圧の測定方法
バッテリーの充電電圧を測定する時には無負荷点検と、負荷点検をおこないます。
無負荷点検とは、レギュレーターの調整電圧を点検することです。
エンジン回転数を約2,000回転くらいにセットした時の調整電圧を測定します。
基準電圧は13.8~14.8Vなのでその範囲に入っていれば正常と判断できます。
負荷点検は、オルタネーターの出力を点検するもので、ヘッドライトをハイビームにして点灯した状態にし、ヒーターファンスイッチも最強の位置にして、電気負荷をかけた状態の電圧を測定します。
エンジン回転数は、無負荷点検の時と同じく2,000回転にセットした状態でバッテリー電圧が13.8~14.8Vの範囲に入っていれば正常です。
(注:無負荷点検も負荷点検も車種によって若干測定方法や基準値が異なることもあります)
オルタネーターの良否を判断するには、充電電流も測ったほうが確実です。
電流を測定するのには、クランプメーターという物を使うと簡単に測定できます。
オルタネーターのB端子に接続されているケーブルをクランプで挟むだけで、簡単に電流が測れます。
充電電流は無負荷点検で10A以下が基準ですが、バッテリーが弱っていると無負荷点検で10A以上になってしまうこともあり、正確な測定値が出ないので、バッテリーは満充電された正常な物を使います。
無負荷点検で正常だったら今度は負荷点検をします。
負荷点検時の充電電流は、30A以上が正常なのでそれ以下の場合はオルタネーターの出力不足となります。
(注:車種により若干測定方法や測定値が異なる場合もあります)
バッテリー警告灯が薄く点灯する場合
バッテリー警告灯が薄く点灯する場合は、オルタネーターの出力不足が考えられます。
ICレギュレーター付きのオルタネーターの場合には、ICレギュレーターが故障すると全く充電しなくなってしまうので、バッテリー警告灯は明るく点灯します。
バッテリー警告灯が薄く点灯するということは、少しは充電しているということなので、ICレギュレーターの故障ではなく、オルタネーターの出力が弱いということになります。
オルタネーターのブラシの摩耗などが主な原因です。
しかし、充電系統の配線の接触不良やアース不良なども考えられるので、まずはオルタネーターの出力電圧、電流を測ってみることが先です。
バッテリー警告灯が車の振動で点いたり消えたりする
バッテリー警告灯が車が発進、停止をするたび、あるいは段差を通過した時にチカチカと点滅する場合には、バッテリーの接続に不具合がある場合が考えられます。
バッテリーの端子の締め付け不良とか、アース端子のボディ側のアース不良とかが考えられるので、そのあたりを良く確認しましょう。
また、オルタネーターのB端子の締め付け不良や配線コネクタの差し込み不良とかも考えられます。
一般にこのような症状は普通はなにもしなければ起きない症状なので、バッテリーを交換したとか、オルタネーターを脱着したとか思い当たる節があればもう一度確認してみましょう。
バッテリー警告灯が点灯した時の修理費用
バッテリー警告灯が点灯した場合の修理費用ですが、オルタネーターが不良の場合にはオルタネーターの交換が必要になります。
昔はオルタネーターを分解して中のブラシなどを交換したのですが、今の時代ではリビルト品での交換が多いです。
オルタネーターのリビルト品の価格は車種によって幅がありますが、おおよそ1~3万円の場合が多いです。
新品だと7~10万円くらいはしてしまうので、新品を使うことはよっぽどのことがない限りあり得ないです。(注)車種によってはリビルト品が無いこともあるので、その場合には新品を使うしかないです。
オルタネーターの交換を自動車整備工場などに依頼した場合の工賃は、おおよそ1~2万円くらいですが、オルタネーターは車種によって取り付けされている箇所がさまざまなので、車によってはそれ以上かかってしまうこともあります。
また、オルタネーターのリビルト品も自動車整備工場などに頼むよりもネットで購入したほうが安いのですが、持ち込みの場合には工賃が割り増しされる場合もあるので一概にどちらが安いとはいいきれない部分もあります。
オルタネーターやクランクプーリーの錆びや摩耗が原因で充電不良
バッテリーの充電不良の点検で、以外と見落としがちなのがオルタネーターのプーリーやクランクプーリーの状態です。
プーリーが錆びていたり摩耗していたりするとファンベルトを調整してもいくらも走らないうちに充電不足が起きてしまうこともあります。
その理由は、プーリーの錆びなどでファンベルトが摩耗してしまい、ファンベルトを新品にしたり調整し直したりしても、すぐにファンベルトが緩くなってしまうからです。
バッテリーがすぐ上がってしまうといったトラブルがあった場合には、オルタネーターやクランクプーリーの錆びや摩耗なども良く見ましょう。
まとめ
バッテリーの警告灯(ランプ)が点灯した場合にはオルタネーターの原因であることがほとんどですが、ファンベルトなどの緩みによる場合もあります。
ファンベルトの調整をしてバッテリーの警告灯(ランプ)が消えればオルタネーターは大丈夫です。
また、よくあるのがバッテリーの警告灯と同時に他のインジケーターランプも点灯している場合ですが、その場合にはファンベルトが切れてしまっていることが多いです。
ファンベルトが切れてしまうとバッテリーが充電されないだけでなく、ウォーターポンプも回転しなくなってしまうのでオーバーヒートもしてしまうので車を走らせることはできません。
そのような場合には車を安全なところに止めてレスキューを待つしかないでしょう。
オルタネーターの故障は車が走行できなくなってしまう可能性が大きいので、異音などを感じたら早めに対処することが大切です。
最近のオルタネーターは性能がよくなっているので、20万kmくらい持つこともありますが、使用環境によっては10万kmくらいで故障してしまうこともあり得ます。
なので、10万kmを超えたらいつ故障してもおかしくない、と考えていたほうが間違いないでしょう。
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